私がソフトウェア開発の業界に就職したのは、1960年4月であります。1971年に株式会社ジャステックを設立するまでの12年間にわたり、SEとしてのソフトウェア工学、SEの評価およびIT企業の経営の在り方について、当時の経営トップや業界関係者と私の考え方の違いに悩みました。
これまでの経験を基に4つの企業理念を設定しました。
IT企業を知識集約産業として捉えたのは、我が国の優秀な製造業のようにコストおよび品質等に基づく企業間競争の中で、自らの改善改革を発揮して実現したシステムを顧客に提供することを通して、健全な市場の確立に努める企業を意味します。
この頃のIT企業の会社紹介パンフレットは、本社ビルとか、システムを利用する対象業務のハードウェア、例えば座席予約システムを使う新幹線、飛行機等のハードウェアを紹介する形式のものが大半であった。
これに対し、ジャステックは知識集約産業を標榜するIT企業として、あるべき広報の仕方を研究してきた結果、次の内容を営業案内の形で発表しました。
IT企業の各種業務の生産性および品質に基づく能力評価方式を確立
1997年4月~2015年5月 理事に就任
LTU(フランス)買収
AIの登場で、2017年に撤退
重点的に改善、改革を継続する項目として14項目を設定
定量管理、工程定義、社員の職務分掌、顧客打合せ、チーム力、購買、その他8項目
現状、私が意識している業界の抱える諸問題について述べます。
過去10年以上に亘って取り組んでいるようですが、ユーザーごとの要件定義技術も開発に関する生産性や品質を保証するソフトウェア工学に関する技術も確立していないため、これから再度取り組むことになるが上手くいく保証はない。
独自性で業界をリードする大手ユーザが、発注した大手IT企業によるソフトウェア開発の失敗が多いことから、海外パッケージの導入に動くも、多数の販売を見込み汎用性を重視したパッケージでは大手ユーザの独自要求を満たさず、機能追加を繰り返す泥沼に入り込んで納期遅れあるいはコスト増となり、果ては開発中止になる場合も出てきています。このような状況をカバーする大手IT企業もなかなか見つからないようです。
ここに来て非常に素晴らしいことであるが、特に自動車メーカー、半導体メーカーおよび6Gメーカー等々において、世界的競争が始まっています。自動車についてはレベル4に搭載する多機能プラットフォーム、半導体については超多機能半導体および6Gメーカーにあっては大容量高速通信への取り組みが開始されています。
こうした状況下、日本のIT企業が準委任契約(たとえ一括請負契約であっても結果は同じ)で製造業をサポートしたとしても、その結果製造業の挑戦が世界で太刀打ちできるだろうかと懸念しています。こうした事態にならないように生産性および品質を保証する礎となるソフトウェア工学に関する技術を蓄積し挑戦し続けるIT企業が望まれることになると考え、ジャステックは微力ながら努力して参ります。
ジャステックはIT産業を知識集約産業として位置づけ、このことに賛同するIT企業、顧客、社員、入社してくるであろう学生諸君および社会、国家と力を合わせ世の中に貢献してまいります。
神山 茂